VPSとは?共用サーバーや専用サーバーとの違い

カテゴリ:基礎知識

VPSはVirtual Private Serverの略で仮想専用サーバーを意味します。
VPSが登場するまでは、Webサーバーやメールサーバーを公開する場合、共用レンタルサーバーや専用サーバーが一般的でした。

共用レンタルサーバーとVPSの違い

リソース

共用レンタルサーバーは、1つのサーバーに1つのOS、ApacheなどのWebサーバーアプリ、データベース(別サーバーの場合あり)などがインストールされたサーバーを複数人で共用する仕組みです。

サーバーを共用するという意味ではVPSも同じですが、共用サーバーの場合はユーザーごとに厳格にリソースを割り当てる事ができず、特定の人が多くのリソースを使用する場合、同じサーバーを使用している他の人にもパフォーマンス面での大きな影響が出てしまいます。

一方でVPSは仮想サーバー単位でユーザーにリソースを割り当てられるので、CPUやメモリ容量も厳格に割り当てることができます。
例えば特定の人がVPS上で高い負荷、多くのメモリを使用するアプリを動作させても、他のVPSのユーザーには影響しません。

アプリ

また、共用レンタルサーバーは運営会社がインストールした、あるいは用意したアプリしか使用できません。
例えば、ApacheではなくTomcatを使用したいと思っても共用サーバーがTomcatに対応していなければ使用できません。
VPSはOSも含めて原則どんなものでもインストールできます。

自由度

さらに、VPSは仮想ではありますがサーバー自体を貸してもらえるので、OSのroot権限が与えられ、自由にOSをカスタマイズできます。

root権限はOS自体の管理者ユーザーであり、すべての設定が行えるユーザーです。
但しOSの構築や管理の際に非常に便利なユーザーである反面、OSを破壊したり、不正な設定に変更したりもできる危険なユーザーでもありますので、厳重な管理が必要です。

一方、共用サーバーではまずrootユーザーが貸与されることはありません。
SSHでログインできるユーザーは与えられますが、使用できるコマンドは制限され、ユーザーのホームディレクトリ内しか参照できません。
逆に言えばOSを壊してしまう事はありません。

なお、VPSではrootユーザーが危険なユーザーでもあると説明しましたが、実際には鍵認証のみでのSSHへのアクセスを許可(パスワード認証を無効)する事で、rootでの安全なログインを実施できますので、不正ログインされる心配はありません。

専用サーバーとVPSの違い

仮想か物理か

VPSが仮想サーバーなのに対して、専用サーバーでは物理サーバーが貸与されます。
違いはこのサーバーが仮想か物理かの違いのみと言っていいでしょう。

当然ながら物理サーバーの方がパフォーマンスに優れているため、大規模サイトの運営には向いていますが、その分価格は高くなります。
※もちろん価格はサーバーのスペックによっても大きく変わります。

メンテナンス

なお、VPSも専用サーバーもサーバーのメンテナンスは自分自身で行う必要がありますので、Linuxなどの使用するOSの専門知識が必要になります。
つまり自由度が高い反面、自己責任の部分も多くなり、パフォーマンス・チューニングやセキュリティ面の知識も大切になってくるということです。

例えば脆弱性が発見されれば、攻撃を受ける前にパッチの適用などの対処を実施する必要があります。
個人サーバーならともかく、企業で使用している場合、対策の遅れは信用失墜や、万が一攻撃を受け、情報漏洩やウイルス散布が発生した場合は、損害賠償にまで発展する恐れもあるため、十分な知識や管理体制が必須になるでしょう。

Note なお最近ではさくらインターネットなど、レンタルサーバー会社側がメンテナンスを実施してくれる専用サーバーであるマネージドサーバーなるものを提供している会社もあります。

VPSはいいとこ取り

価格的にも、自由度的にもVPSはバランスが良く、ある程度のOSやアプリの知識があればVPSは最良の選択肢といえます。

もちろん構築やメンテナンスにかかる時間は共用レンタルサーバーよりも多くなりますが、一度構築してしまえば安定して運用が行え、またマルチドメイン(仮想ホスト)を使用して1つのVPSでいくつかのドメインを公開しても、リソースが厳格に管理されているためパフォーマンスに大きな影響はでません。(サイトの規模にもよりますが)

VPSが向いている場合

アフィリエイトなどで複数サイトを低価格で公開したい場合や、共用サーバーにはインストールされていない開発言語やアプリにこだわりがある場合、通信速度やパフォーマンスを重視する人はVPSが向いていると言えるでしょう。

Note Linuxの知識はなくても、やりながら覚えていけば何とかなるものです。
とはいえ知識不足によるセキュリティ上の欠陥(脆弱性)による障害のリスクを考慮すると、少なくともLPIC1程度の知識はあった方がいいでしょう。

VPSを構築しながら、同時にLPIC1(できればLPIC2まで)の取得を目指すのも手かもしれませんね。

共用サーバーが向いている場合

逆にLinuxなどのサーバーOSやアプリの構築や管理の知識が全くなく、興味もないという方は、共用レンタルサーバーが向いているでしょう。

共用レンタルサーバーでも最近はエックスサーバー などのハイスペックなものもあるため、必ずしもVPSよりもパフォーマンスが落ちるというわけではありません。
限られたアプリ(一般的には、Apache、PHP、MySQLなど)で構築が可能で、将来的にも変更する予定がなければ共用レンタルサーバーでも何の問題もありません。

実際には一時的に共用レンタルサーバーとVPSの両方を契約(お試し期間などを利用)して使い比べてみて、良いと思った方に移行するのがいいかもしれません。
また、サイトの規模や重要度によって使い分けてもいいでしょう。

結論

まず言えるのはLinuxの知識さえあれば共用サーバーや専用サーバーよりもVPSの方が圧倒的にコストパフォーマンスが良いということです。
迷う必要はありません。

公開日時:2015年05月02日 09:44:13
最終更新日時:2022年02月12日 09:28:09

なお、VPS選びで迷ったらこちらの記事で主要VPSのメモリ容量ごとの月額、年額料金を比較していますので、是非参考にしてみてください。

基礎知識に戻る

「基礎知識」に関する他のTips

このページのトップに戻る